- ABOUT Giclee -

 ジクレーとはフランス語で“吹き付け”の意味で、リトグラフやシルクスクリーン版画と違い、版を用いずに刷り上げるのが特徴です。
 高性能インクジェットプリンタを駆使し版画用紙やキャンバス生地にプリントする、現在最先端の版画技法であり、7万色を超える色彩により微妙な調色による表現が可能になりました。デジタルデータを上質なキャンバスや版画用紙などの高級素材に高精細で高色域、しかも100年以上の長期に亘って高い保存性を誇ります。
 これにより従来の版画複製とは別次元の高細密な原画再生が可能になりました。
通常のポスター印刷との最も大きな違いは、作家自身が監修を行い、工房と共同で作り上げる【作品】という点です。
作品に加筆やエディション番号を作家自身が加えることにより、美術作品としての価値をより高めることが可能です。
これは、リトグラフ、シルクスクリーンに続く現代アーティストのための新たな表現技法と言えます。
ジクレー印刷を行うには、専用のプリンター、専用の用紙、プロファイル(設定)、色調調整などに独自のノウハウが要求されます。
 欧米の絵画市場においては年率60%~70%増の割合で急激に成長成長しており、すでに一般的な版画技法として認知されています。
これは、デジタルで製作するアーティストの増加が要因であるのと、原画を忠実に再現できるケースが増えてきたためです。
 現在では世界的に有名なルーブル美術館、メトロポリタン美術館などがジクレー作品を展示するに至っています。
ジクレー印刷は、CGクリエイターやイラストレーター、デザイナー、フォトグラファーなど、様々な人々に重宝されています。

ジクレー版画プリンター

 制作の仕方は、オリジナルデータをもとに、ドラムが回転してそこから色付けされます。ドラムから水彩ベースのインクがスプレー状に出ます。 インクには顔料を使うプリンターもあります。
顔料とは日本画の岩絵の具がそうなように、宝石のような岩石を細かく砕いたものです。元が岩石なので日光による変色に強いのです。耐光性はメーカー発表で200年となっています。

版画制作

 原画をコンピューターで解析し厳密に測定した上で、秒間400万以上ミクロ粒子のジェット噴射を行います。
 色彩は512色のインクの混合によって7万色以上もの微妙な発色が可能です。作画の精密さ、色調の幅共に、従来の版画複製技法の限界を凌駕しているといわれています。

レタッチ

 元の作品を見ながらの微調整です。色はもちろん、質感やタッチも忠実に再現できているかをチェックしていきます。
紙の種類によっても微妙な色の出方が違うので、試し刷りの場合も本番用の紙を使います。
 この色の調整と印刷を繰り返し、見た目を元の作品に近づけていきます。時には何度ものやり直しが必要となる非常に根気のいる作業です。